【脳科学とチームワーク】メンバーの情動を操り、チームマネジメントに活かす

みなさんこんにちは。

今日は組織心理学、中でも中長期のROMI(マーケティングのROI、費用対効果)を大きく左右する要素の一つであるモチベーションマネジメントについて話をします。最初は荒い定義で分類を行い後半で計画のグレシャムの法則について述べていきますので、どうぞお付き合いください。

あらゆる仕事は複数の人間の協力によって成り立っています。協力して仕事をすることによって組織は力強い成果を出しえますが、また一方でとても脆(もろ)いものでもあります。したがって経営・マネジメント層に限らず、あらゆるビジネスパーソンは脳科学・組織心理学を学び実践に応用するべきではないかと私たちは考えています。

モチベーションの好循環は短期的にも中長期的に組織に良い成果をもたらします。チームメンバーの人間関係がうまくいっている場合、その組織には長期的な利益がもたらされます。重要なのはそれが長期的利益である点です。

それでは組織風土が結果に与える長期的な影響を検証しましょう。みなさんの組織は以下のうちどれに該当するのか検証しながら進めていくと良いかもしれません。

 

実例:組織風土が結果に与える影響

A.感情でメンバーを抑え付ける企業風土

人間には様々な感情があります。心理学者ダニエル・ゴールマンによると、あらゆる感情は脳の神経回路において恐れをつかさどる器官である扁桃体を一度経由しているといいます。つまりあらゆる感情は「恐れ」と紐づいているのです。端的に表れた例としてゴールマンは次の事件を挙げています。チームマネジメントはこの点に気をつけて実践したいものです。

 

実例:ユナイテッド航空173便墜落事故

事故調査委員会の報告書から:

1978年12月28日オレゴン州ポートランド近郊に墜落。死者10名。

主原因:燃料切れとヒューマン・エラー(コミュニケーション不足)の複合要因

直接的原因:着陸直前に着陸装置が故障、機長がマニュアルに没頭している間に燃料切れを起こし失速・墜落。

背景:本事件は機長の性格に原因があったのではないかと言われている。機長は実は非常に気性の激しい性格でそれが原因で同僚たちはいつもびくびくと怯えていた。もちろん燃料切れを示す表示の単位の読み違いもあった。しかし他の乗務員が「燃料切れが近いこと」を機長に言い出せなかったのではないかとも分析されている。

乗務員は機長を恐れている環境下、チームに重篤な危機が迫りつつある。このとき人はどんな行動を取るのだろうか。「恐れ」が邪魔をしたことが事故の引き金となったとも解釈されるこの事故は、マーケティングチームを結成する組織に需要な示唆を与える。

 

恐怖感情のない組織づくりを行うことはとても重要なことです。ただ本記事の趣旨とずれるのでさらりと取り上げるのみにしておきます。企業としての対応策については様々な書籍が出ていますので、どうぞ参照ください。

 

B. 感情・規範意識が薄い無責任な企業風土

次に自由な雰囲気ではあるのだけれども「フリーダム過ぎる」職場もまた問題です。少し考えてみましょう。チームメンバーに対して適度な権限を与え職務を遂行できる職場は理想です。しかし自由を通り過ぎて「節度のない職場」になるケースがこれに該当します。いわゆる規範意識が低い組織です。働いている本人たちが意識している・していないに関わらずこれらを「社会的手抜き」が発生している職場と言います。まずは本人たちが薄々気づいているケースを取り上げてみます。

社会的手抜き: 本人たちが気づいているケース(低い規範意識を受け入れている)

社会的手抜きには、本人たちが気づいている、または薄々気づいているケースとそうでないケースがあります。ここでは本人たちが薄々気付くであろうケースは以下の通り。

実例:ABS付き自動車の事故の方が多いのでは研究(2009:芳賀繁)

実験:「安全技術で事故は減らせない」:自動車にABS(アンタイ・ロック・ブローキング・システム)がついている場合とついていない場合の交通事故件数や運転行動を比較

結果:比較の結果、両者の間に事故件数も事故の大きさも差はみられなかった。ところが前者は後者に比べて急発進急加速の頻度が多く、合流の際の調整が乱暴なため周りの交通を混乱させることが多かった。

リスクが低下したと知ると人間の意識はリスクを高める方向に変化する。この現象をリスク・ホメオスタシスと呼ぶ

 

組織運営について影響のありそうな実験に次のようなものがあります。

実例:多重チェックするとサボる人がいるのでは実験(2003:島倉・田中)

実験:複数の被験者が間仕切りのある机に一列に並び、封筒に印刷された住所 氏名 郵便番号 を住所録に照らし合わせて確認作業をする作業を行なった。

結果:印刷ミスの発見比率が最も高いのは作業者が2人の時で、5人でチェックした時のミスの発生率と一人で確認する際の率と同じかまたはそれより低くなった。

この実験結果から3重以上のチェックをすると社会的手抜きが発生し全体のミスの率が増えてしまうということが判明した。

 

他に有名な実験としては8人以上で綱引きをやる綱引き実験(8人以下の力より小さくなる)や、綱を引く代わりにチアリーダーが大声を上げる同様の実験でも人数が多くなると社会的手抜きが発生し、成果に人数の掛け算が成立しないことがわかっています。

これをチーム組成に応用しルール化した例がたくさん見られます。例えばジェフ・ベゾス(Amazon.com 創業者兼CEO)氏のピザ2枚ルール。アメーバ経営は京セラの創業者が考案した手法ですがやはり少人数の「アメーバ」で運営することで効果が上がることを、創業者である稲盛氏は強調しています。

 

以上、本ケースは現場または経営陣が気づかないことが多くこのため対策が遅れてしまう傾向にあります。ただ実際に現場は薄々感じているわけですから改善を行うべきだという現場の声が上がりやすく改善活動を通じて発覚するケースもあります。このため下記のケースCに比べて重篤にはなりにくいと考えられます。

 

C. 規範意識は低くない(まじめな社員)もののルーチン呪縛に陥っている企業風土

次は本人はまじめに取り組んでいるが実は社会的手抜きとなっているという衝撃的な話です。社会的手抜きには、本人たちが気づいている、または薄々気づいているケースと、そうでないケースがあります。本人たちが気付く余裕がないというケースがあるのです。これは真面目に取り組むメンバーが多い組織に多くみられます。常に忙しくしているけれども「実践」のみを行ってしまっている。「確認・改善」を行ったり「計画・実践」を行う時間的余裕がないケースがこれにあたります。これも社会心理学の位置付けとしてはやはり社会的手抜きに該当します。注意したいのは、本人たちが気づく余裕がないこと、作業の呪縛に陥っていることに誰かが気づいてあげなければなりません

 

社会的手抜き:本人たちが気づいていないケース(規範見直しの時間・余裕がない)

本人たちが気づかないのですから、本来はマネジメント層が気づかなければならないということはお分かりいただけるでしょう。とても厄介なケースです。さらに本人たちは一生懸命に仕事をしているという意識が強いことが多く、業務命令権を持つ上層部からの指摘ならまだしも同僚からの指摘に本人たちが気分を害してしまうことも少なくありません。

 

実例:ルーチンスの水瓶問題(Luchins:1942)

検証内容:余裕がない状態で作業を繰り返すと工夫する余裕がなくなるかの検証

 

実験:被験者にa b c の3つのマスを使って水を汲み上げる課題を課す。マスの量は表に記されている通り。この問題は1-5まではb-a-2cで解くことができるが、実は6問目以降は単純な引き算、足し算でも解くことができる。

結論:被験者たちは限られた時間で解くことを求められるため、一度覚えた方法で全問題を解いてしまう傾向が見られたというもの。

 

みなさんは新規プロジェクトなどの検討にあたり次のような言動を耳にした覚えはありませんか?

「納期が迫っている案件がありまして。そちらを優先しなければならないのです。よって本件の検討は1ヶ月先送りでお願いします。」このように手元の差し迫った仕事のために、新たなプロジェクトが進まない状態は誰もが経験したことがあるはずです。これは規範見直しの時間的余裕がない状態と同様に捉えることができます。

このような「優先事項と重要事項どちらが先なのですか問題」の処方箋としては優先を外注、重要を社内で行うことで解決するやり方が有効でしょう。しかしルーチン化の呪縛にいち早く気づき、メスを入れるのは実はマネジメント層や経営陣の仕事です。

業務フローを可視化せず、データ化もせず、誰も気づかない状態を放置すると計画のグレシャムの法則に陥ってしまいます。すると優秀な人間が組織から退職して行ってしまうという憂き目にあう危険もあるのです。

 

みなさんの職場はルーチン化呪縛に陥っていませんか

最後まで読んでいただきありがとうございます。特に最後、ルーチン化の呪縛に陥って余裕がない現場は問題ですね。現場の業務フローにメスを入れられない経営マネジメント層と、目先の仕事に精一杯の現場担当者。

マネジメント層が営業マンの行動フローをSFAで把握するように、マーケティング業務の行動フローもまた科学的に把握する必要があります。

みなさんの日頃行なっている業務フローは未来永劫変える必要のないものでしょうか。そうであるのならば問題ありません。しかしこの変化の激しい時代においていち早く業務フローを可視化し「確認・改善」「計画・実践」を行うことがもっとも安全な方法なのではないでしょうか。

 

マーケティングの目的:最適なCSFを探す旅

そもそもマーケティング業務の本来の目的は最適なCSFを探す旅。チームの利益(KGI)にもっともインパクトのある対顧客プローチ(CSF)は何なのか、試行錯誤によって探し出すことです。そして各試行で把握する数字がKPIです。つまり現場はあくまでKPIの対象となる戦術を実践しているにすぎません。計画修正の力が今の現場にどれくらいあるか、営業現場では肌身で感じ取りますがマーケティング業務においては観測しないのが今は一般的です。

もしマーケティング担当者の人数が非常に少なく忙しい現場であるならば、今行なっている試行錯誤が正しいのか否かの判断、他のやり方があるのかどうなのかの判断、改善・実行のタイミングの判断を現場単独で行うのは極めて厳しいものがあります。

 

選択を誤ったり、撤退基準が無いために予算を無駄に垂れ流してしまったり、しわ寄せを現場が負っていませんか。図らずも社会的手抜きが発生している業務フローを改善するため、財務視点でもう一度フローを確かめてみる必要があります。工夫や試行錯誤できるように、行動基準原価計算(ABC)などを用いて業務フローを可視化しその環境を徐々に整えていってください。

 

私たちのROMI-Xはルーチン化の呪縛を阻止する業務フロー可視化のお手伝いをします

費用対効果(英:ROMI Return on Marketing Investment )の測定によって、組織のマーケティング対応力は飛躍的に向上します。

創造性の高い施策を作るには適切なチームビルディングが必要です。わたしたちのROMI-XのDEMOを見に来ませんか?マーケティングされる体験で確かめる、ROMIを計測するための制御されたオペレーションは、「ROMI-Xデモ」を通じてご案内します。どんなオペレーションのフレームワークでチーム構成、コンテンツを作り込んでいるのかを確認することができます。みなさまのROMIに対する理解を深める機会として、ぜひお試しください。無料です。