[働き方TECH] 「なんかおかしい」は発見できるのか?航空機事故調査に学ぶ「取得する業務データ」からどのような「業務フェイル」を調査するかについてお話しします。

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私たちはテクノロジーの力で業務データを取得・可視化しようと考えています。

ただ、現場目線から見れば「業務データ」を一体どのようにして「働き方改革」につなげていくのか、感覚的わかりにくいかもしれません。

そこでこの記事では業務データと働き方改革の関係を理解していただけるようにお話します。

「なんかおかしい」に気づく現場。気づかない経営陣

「問題発生」と「やはり」という作業者の感情の関係

「働き方改革」以前の問題として、日常の現場では、さまざまな小さな失敗や小さな非効率が生じていることは皆さんもよくご存知のことだと思います。そして比較的大きな失敗は、これら小さな失敗をいくつか見逃した事実が積み重なって生じます。そして問題が発生してから事後的に思うのが「やはり、あの時に」という気持ち。一作業者としてたとえ業務の途中で「おかしいな?」と思ったとしても、それだけで業務の流れを止める権限がないことが原因です。果たして業務は途中で止めてもいいものでしょうか。

トヨタの「アンドン(行灯)ロープ」

皆さんは「アンドン(行灯)」について聞いたことがあると思います。

トヨタの工場では各作業者のそばにロープが下がっており「おかしい」と思った時点で誰もがロープを引くことができます。工場のラインはそこで全て止められ、問題を解決するまでラインが再開することはありません。アウトプットの品質を上げるために工場で導入されているこのような取り組みですが、ホワイトカラー業務においては、このような行灯ロープの存在は聞いたことがありません。それはホワイトカラーの業務は「工場ラインのように業務が定まっていないから」なのでしょうか?このままでは、ホワイトカラーの業務では「おかしい」と誰かが思ったことが永遠に握りつぶされてしまいかねません。

さあ業務データを取ろう

航空機の操縦=非ルーチン

しかし現実にはホワイトカラーの職場に「ロープ」を吊るすわけにはいきません。業務を途中で止めるわけにはいかないことも多いでしょう。そこで「事後的に」データをレビューする体制を築くことが重要になってきます。

例えば、航空機事故を例にとって考えてみましょう。事故の調査委員会はとうぜん失敗の後に行われ、詳細な事故原因の分析がなされます。そして同様の事故が二度と起こらないように対応策も綿密に練られます。そもそも航空機の操縦とは「ルーチン」なのか「非ルーチン」なのかどちらでしょうか。おそらく多くの方が「非ルーチン」と答えるでしょう。言い方を変えれば航空機の操縦は「AIに代替されにくい職務」であり「ホワイトカラーの職務」に近い業務であると言えるでしょう。

操縦士は二種類のデータが取られている

みなさんの中で、操縦士が航空機を操縦するに当たり

・フライトレコーダー

・ボイスレコーダー

の2種のデータが取られていることを知らない方はいらっしゃらないでしょう。事故が起きた際は真っ先にこれら業務データが解析され、原因究明に向けた分析と対策検討が行われます。

データで「失敗の原因」を探る

航空機事故調査と同じく、ホワイトカラー業務においても「何か小さな失敗」に対する事故原因調査を行うことを義務付けることで事後的な改善を促すことが可能になります。これを「レビュー」と呼ぶことにします。

「小さな」失敗を定義して「レビュー」を実施

このような「レビュー」を行なって業務を改善するのは良いことですが、そもそもレビューを実施するためには「失敗」が何であるかを定義しなければなりません。墜落事故のような命に関わる「重大インシデント」であれば、自然とそのような動きになりますが、 命に関わらない業務は「失敗」は矮小化されてしまいがちです。従ってレビューを開始する基準や「失敗」を定義することはとても重要になります。

失敗を克服すると何が起きるのか

その失敗を克服すると「もっと働きやすくなる」

失敗を克服すると何が起きるのか。当然「働き方が改革される」です。働き方が改革されるとは、職場が働きやすくなるということ。ある調査によると「働きやすい職場」とは人間関係だと答えた人が8割以上だそうです。失敗を克服することによって人間関係、チームワークを高めていけるよう、「レビュー」開始基準を定めましょう。

「非ルーティン」業務であるほどチームワークが重要

過去の航空機事故のケース調査から「そのフライトで初めてのチーム」の方がお互いを良く知っている操縦チームよりも航空機事故の確率が高いことがわかっています。このように航空機の操縦などの「非ルーティン業務」になればなるほど、チームワークと業績(離着陸の成功)相互の相関関係は判明し無いものの因果関係は大きくなるのです。これはホワイトカラー業務においても同じことが言えます。

「チームワーク改善の結果、業績がアップする」ことが理想

働き方改革の第二のフェーズでは「チームワーク力の改善」が課題となります。チームワークが改善する結果、業績がアップするのは間違いありません。「現場の改善」が「経営マネジメント層の課題」を解決する。このフェーズにおける「働き方改革」の特徴がここにあります。

「業務そのもの」に手を入れる「働き方改革」の実践

今や「働き方改革」は「働き方」つまり「業務そのもの」に手を入れていくフェーズに入っています。 働き方、チームメンバーとの良い人間関係が構築された結果、経営マネジメント層が求める業績改善が起きるというなどつまり残業などの「業務の外側」の問題ではなくていよいよ「業務の内側」の改革なのです。