業務ビッグデータの取得、短期的には「業務マネジメント」に活用可能
・業務データの取得により、長期的には経営マネジメント層に役立つ指標が抽出可能
働き方をテクノロジーの力で変えていく。
そのために業務ビッグデータを取得するというのはわかったけれども
それは経営の問題。自分たち「実際の現場」にとって、それら業務データが何か活用できるのか、できないのか今ひとつわからない。
今日はそんな質問に対してお答えを話したいと思います。
もくじ
「データ」取得の短期的目的
「業務マネジメント」に「すぐ」活用可能
業務ビッグデータはすぐに業務マネジメント(Operations Management)に活用が可能です。
具体的にはどのようなことに使われるのでしょうか。
例えば上司がある部下にスプレッドシートを使ってまとめ資料を作って欲しいと頼んだとします。しかし使用するデータは社内の別部門の別の仲間からもらわなければなりません。
このとき、部下の仕事が遅れたとします。このような時のために、タスクごとに担当者の仕事をデータ化していればどうでしょうか。
これらの「遅れた原因」が部下の仕事が過多なのか、データをもらわなければならない社内の別のメンバーがデータを出し渋ったからなのか、それともそのメンバーが忘れていたのかなど、原因を探ることが可能になります。
業務ビッグデータを取得していれば、このようにして事後的にトラブルの原因を探ることが可能になります。
「サイレントマイノリティ」の声を分析可能
さらに、業務の一部において「外注」を行っている場合、業務マネジメントの価値はさらに高まります。
仕事はタスクの受け渡しで構成されています。例えば外注先企業が納品が遅れたという場合、本当に外注先企業の遅れが原因なのでしょうか。もしかしたら、社内の担当者の返事が曖昧だったためにやり直しがなんども生じた結果、遅れたのかもしれません。
今後業務効率化のためのBPO(ビジネスプロセス・アウトソーシング)が盛んになってくるでしょう。
来るべき時代に向けて、サイレントマイノリティ(物言わぬマイノリティ)である外注先企業のタスクも業務データとして可視化することで、業務の効率性を高める時期に来ています。
このようにたとえ財務的にはデータ計測期間が短くて「ROIC分析できるほどの価値がない」状態であっても、業務遅延など「現場の働き方」に起因する本質的問題を事後的に抽出・追求することが可能になる。これが業務ビッグデータを取得するもう一つの目的なのです。
「データ」取得の長期目的
経営層のための財務データへの転換
ある程度以上のデータが溜まってきたら、部門ごと、またはプロジェクトごとにタスクの塊を定義して「単価」を掛けて小計を算出します。これらの「小計」を適切にグルーピングすることによって、小単位・チームごとの損益計算書を算出することができます。
このように小グループごとに損益計算書を算出することができれば、業務施策ごとに利益へのインパクト(CSF:Critical Success Factor)を計算していくことができます。
部門別ROICの算出
このように、財務上のデータ要件は業務マネジメントの要件よりも目が荒い(つまり業務マネジメント用の業務ビッグデータの方が精密ということ)ことが多く、従って部門別ROICを算出したりIRRや投資回収期間の予測を行うなど経営分析を実施するためのデータは比較的容易に算出できます。ROICの算出の方法や、なぜROICなのかということについては別の記事でご紹介したいと思います。