[働き方TECH ] なぜROICが働き方改革における経営マネジメント層の重要指標なのかという質問にお答えします

TRANSIT

テクノロジーの力で働き方を変えていく「働き方TECH」。その根幹は「業務データを取得」して「現場」と「経営」の双方に役立つ可視化を適切に実現することにあります。 

前回の記事では、「取得した業務ビッグデータ」の一つ目の使い道についてお話ししました。一つ目は「現場」つまり「現場の業務に直接役立つ」使い道についての話でした。「作業メンバー」がより良い働き方を実現するために業務データを役立てるという内容です。

今日は引き続き二つ目の使い道、「現場」ではなく「経営」に役立つのは何かという話です。取得する業務ビッグデータを「経営マネジメント層」が活用可能なものにするために必要な前提知識について、少しだけ詳しい話をしたいと思います。

費用対効果

経営陣に必要なのは「費用対効果」の可視化

経営陣(コーポレート部門)は各事業部(事業部門)がうまくいっているかどうかを評価・判断するための指標として何らかの「費用対効果」を示す指標を使います。この「費用対効果」を一般に「ROI(Return on Investment)」と呼んでいます。

一方、私たちが費用対効果を求めるのに用いているROICとはReturn on Invested Capitalの略で、後述するように各事業ごとの資産から負債を差し引いたものが「費用」に相当します。

なぜ費用対効果に「ROIC」を用いるのか

私たちは「業務ビッグデータ」を「経営陣」に対して可視化を行うために(その手段としてオリジナルの業務データを財務データに転換して)ROICを活用します。しかしなぜ、ROIではなくROICを指標にするのでしょうか。

結論から言うと、働き方改革は「事業部ごと」に仕事のやり方が異なるため、「別個に」実現するべきものだからです。働き方改革がうまくいっているかどうかは、事業部毎に別項に評価する指標が必要になるからなのです。このような時に使う費用対効果指標が「ROIC」だ、ということに過ぎません。

株主目線

会社は事業部ごとに仕事の内容が異なります。各事業部には違った存在目的があるからこそ経営陣は資本(予算)を事業部門毎に配分します。ROICはまた、別の側面から見れば株主など会社のステークホルダー、会社の状況を常にウォッチする人たちが欲しがる指標の一つでもあるといえます。

ですから経営陣がこのお金の配分具合というか、期初の資本を事業部ごとに適正に配分しているかを確認する行為は「株主フレンドリーな行為」ともいえます。

各事業部の利益の合計が最大化するように資本配分することが、経営マネジメント層に推奨される行為であるともいえるでしょう。

ROI: ROA, ROE,そしてROIC

ROAとROE

ROAとROEという指標は聞いたことがある方もいるかもしれません。ROAのAはAssetつまり「総資産」のこと、ROEのEはEquityつまり「株主資本」のことです。これらを分母にし、利益を分子にして計算したROIのことを指します。

ROICとは

一方、これらに比べてROICとは何でしょうか。実はROICとは前述した通り「会社全体」の指標ではなく「部門別の費用対効果」を算出する際に有効になる指標です。

ROI, ROA, ROE, ROIC はどこが違うのか?

ROA, ROEは会社全体の指標として計算されるものということは上述の通りです。ではROICはROA, ROEとどこが違うのでしょうか。

違いは、ROICは分母を「事業用資産」ー「事業用負債」として計算するところ

です。事業毎に損益計算書や貸借対照表が(少なくとも概念上だけでも)存在するべきでしょうから、「事業用」の「負債」を考慮に入れなければなりません。次の項で礼をお話しします。

ROICでは、掛けでの「仕入れ」が確定したものを「除く」などする

例えばマーケティング事業を行なっている企業が今日納品を受け「3,000万円の仕入れ」が確定したとします。そしてその仕入れ代金を例えば今日払うのと3ヶ月後でいい場合とではどんな違いが生じるでしょうか。そうです。例えば今現在の「預金残高」のうち3,000万円は実は「もう無い」ものとして認識しなければおかしいですよね。

支払いが確定しているのですから当たり前ですね。このような場合「事業用の負債」として認識する、これが事業用資産」ー「事業用負債」を意味するものです。もちろん実際に銀行借入があってそれが事業部に属するものであれば、それも事業用負債に計上します。このようにして純粋な事業資産を分母として認識するROI、これはROICなのです。

ROIC導入のメリットは確実にある。しかし計算は簡易的で良い。

実際のところ、このように正確に経理処理をするべきかどうかといえば、それは会社によるといえます。あくまでも部門別に「ROI」を算出できればよく、その正確性は経理処理のときのように厳格に問われないと考えます。この辺りは皆さんの会社が上場会社であるのかそうで無いのかなどによって変わると考えて良いでしょう。

部門別の「予算」は本来は「費用」として取り扱われますので、現場では「使い切っても構わないお金」として捉えられがちです。そかしROIC導入によって「費用」ではなく「投資」として捉えられ、「投資元本(予算)」を経営陣に「返済する」ための「利益積み上げ」として事業を捉えることになります。この意味で、経営マネジメント層にとって「ROIC導入のメリット」は確実にあるのです。